定食の定義

 拙ブロ;ニッケイネット(3月22日付)に那覇バスターミナルの食堂について記した。その後、サイトを調べて、このお店のことが少しだけ分かった。また拙写をよくよく検めると、どうもサンマ2尾である。しかも、焼きではなく、揚げのようにもみえる。他所様のサイトで、わたくしのよりずっと鮮明なメニュー写真を撮っていらした。紹介する。
 
・・・Kuuさんの画像(しまPasha Club)

 08年10月とあるから、わたくしの訪問よりほぼ1年後の存在を確認できた。はっきり2尾いらっしゃる。価格も、メニュー表もマンマである。いや、微妙に異なっているようにも、何しろ外光に反射して拙者(写)がひどいが、奥のサンマの頭が欠けているようにも・・・、よく分からないが、「2尾、しかも揚げ物」であると判定した。したがって、これを持ち帰れば「サンマ弁当」ということになろうか。

 この泉崎にあるバスターミナル2階の食堂を「みつ食堂」という情報があった。

 旅とグルメのふろくという。記載時が09年4月となっているから、さらなる存在が確認できた。

 念のため、那覇バスターミナルのサイトや電子地図を当たっても直近の存在確認ができないため、ネット版タウンページに依った。

 みつ 那覇市泉崎 ・・・ → ?バスセンターみっちゃん食堂? がヒットした。住所は那覇市泉崎1丁目20−1−2F、間違いないだろう。タウンページ添付の地図も、電子地図も、同じバスターミナルを示している。

 ご健在のようである。ただ、南側一帯は再開発(旭橋都市再開発株式会社サイト)されており、このバス拠点もいつかは変わるのであろうか。その際、みっちゃんはと思うと、少し淋しい。

 今回は「定食の概念(または定義)」について少し記したいと思う。わたくしどもはふだん朝食なり、夕食を摂る際、ご飯+お味噌汁というお決まりがある。それが外食にも適用されており、○×定食といった場合、○×+飯・汁がフツウである。仮に後者がついていない場合は定食といわず、単品と記載しているだろう。その点洋食ははっきりしていて、ランチやコースなどを除けばスープ(汁)は別メニューとして提供されており、独立した商品の扱いとなっている。むしろ、日本の「飯」にあたるパンやグリッシーニが只(必ず付く)という傾向にある。

 さて、みっちゃんで撮った写真である。いずれもメシが付いているから、わたくし的には「みそ(魚)汁」定食である。おそらく、コッチで「味噌汁チョ〜ダイ!」と言えば、ただポソッと、それだけ出てくるであろう。そこに食文化のカルチャーショックがあるようで、わたくしは経験ないが、ついコッチ感覚(味噌汁)で、みそ汁追加ね〜と那覇の食堂あたりで言ってしまうと、「みそ汁とメシ」が出てきて戸惑ってしまうという。(分かりづらいが、コッチ風を味噌汁、琉球風をみそ汁とした。両者の決定的な違いはその量と中身にある。後者はもはや味噌汁の名(音)を借りた「主菜+汁」である。※主菜などと書かずに「おかず」とすればと思われるが、それはそれで奥が深く、ますます混乱するため、拙稿では他所様のサイト引用以外では使用しないよう努めている)

 琉球の「みそ汁」はコッチにおける「とん汁定食」のような位置づけであろうか。他にケンチン汁、カス汁、アラ汁などがあろう。ここで留意する必要があるのは前回メニューで紹介したように「みそ汁」のほかに「みそ汁定食」というメニューが存在する点である。
 
 復習する、「みそ汁」はメシ付きである。では、「みそ汁定食」はというと、ここ(みっちゃん)では揚げサンマ1尾が寝そべっている。このあたりに琉球における定食の定義を考えるきっかけがあった。

[みそ汁](注)メシ付き、したがって「みそ汁」とうっかり注文すると、メシも随(つ)いてくる・・・。右中上は「みそ汁定食」(二度目の登場)

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[魚汁](注)単品ではなく、メシ付き

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 コッチの西へ行くと「うどん定食」という特例がある。東の人間からすると「なぜ、炭水化物と炭水化物なのか」とご批判される向きもいらっしゃるようだ。もちろん、これもれっきとした定食であるが「うどん」といった場合はいつまでたってもそれしか出てこない。お店によってはうどん定食にご丁寧にも赤出汁が付いてくるお店もあり、この場合はどう解釈してよいものか困ってしまう。いずれにしても、コッチでは味噌汁、ウドン、ケンチンと言っただけでは定食と認識されない。末尾に定食あるいはライス(メシ)を忘れないことが肝要であるが、アッチではウドンと発しただけでメシが付いてくる可能性がある。(未確認)

 定食の定義について、定食定義研究会〜日本における定食の研究の権威〜も東国の団体でいらっしゃるからであろうか、うどん定食は該当しないことになる。

[定定研の5大定食定義]

1)白飯+味噌汁+おかず2品以上。
2)定食は5種類以上のバリエーションがあること。
3)内容のわからない定食名は禁止。
4)「お定食」、「○○定」は禁止。
5)1000円を超えてはならない。

[定定研の定める理想的な定食の内容]

1)ごはん/白飯でなくてはならない
2)味噌汁/中華料理店で多いスープは不可
3)おかず/これがなくてはただの御飯セット
4)漬物/たくあんや浅漬けがよい
5)小鉢/これがあればなおさらよい

 うどん定食やラーメンライスは上記[内容]の3)にある「ただのご飯セット」になってしまうのであろう。うどんもラーメンも「おかず」にあたらず、「汁」属という判断をしているからという想像である。これに照らせば、琉球(みっちゃんメニュー)の「魚汁」や「みそ汁」が定食を名乗っていない点は同研究会からみると「よし」であろうか。ただ、同会が謂うおかず2品以上は欲張りすぎである。漬物も要求し、さらに小鉢まで欲しがっているのだから。せめて1品以上に変更したらと、勝手ながら思っている。(注:上記下線部のおかずはコッチ風の意味)

 なお、大手牛丼チェーンにおける定食の定義は「御飯(牛丼)+みそ汁」が定着しているが、吉野屋の牛鍋定食に限っては味噌汁無し(かわりに生玉子)のようである。

 吉野家の牛鍋定食(みそ汁無し)※他は有り

 松屋は全品みそ汁付き(牛丼単品の場合も付いている!)※持ち帰りの場合別料金はよく分からない。ちなみに60円

 すき家も全てに付いている(トン汁付きも)(単品の場合は別途料金が発生する)※サイト読み込みに少し時間がかかります。

 まことに拙いもので申し訳ないのであるが、琉球における定食の変容過程という大仰なことを考えてみた。定定研の定める「ただの御飯セット」とは「ごはん+味噌汁」を指している。繰り返すが、琉球では味噌汁の度を越した量と内容を擁しながらも、それを「みそ汁」と称していて、あえて、または伝統的に定食といわず「みそ汁」「魚汁」と呼び、『ただの御飯セット』と位置づけているが、コッチであれば、トン汁とメシであれば定食を冠しているお店が多いように、定定研の定義は別として、「定食」に十分値すると考えて良いと思う。

 念のためグーグルの「トン汁定食」の画像サイトをみると、おおむね、トン汁が「ボクが主役」と主張するように存在感を示しており、琉球でいう「みそ汁」に近い姿となっている。(グーグルサイトは日々変わっている可能性もあるので、本日以降、下記画像はリンク切れの可能性もあり)

 ただし、例外もあって、琉球における「みそ汁定食」級も。

[豪華なトン汁定食の例]※おそらくコッチの画像

メザシが付いている

オムレツ添え

焼き鮭付き

騒がしいトン汁定食

本当に豪華(意味不明)

トン汁が埋没しているトン汁定食(周りが豪華)

 最後になか卯のとん汁定食


[中(あ)てにならない琉球における定食の変容過程]

定食の変容


 変容というのはなんだか変であるが、的確な言葉が思い当たらない。もしかしたら、サンマ定食はフツウの「汁」もありそうなので、本土における定食の範疇という可能性もあり、引き続き、考えてみたいし、今回は「メシとシルと某」という組み合わせ(共同)食のみであったので、丼、チャンプルー、お茶漬けといった集合食についても進めていきたいと思っている(閑?)