門前仲町

 30年前というから、それなりに時を経ている。彼は今海外の地にいて活躍している。本社はこちらにあり、仕事を兼ねて、たまに帰国する。その合間を縫って、今こちらでの住み家であるという標題の街で会った。この街を指定したのはわたくしで、まだ、じっくり訪ねていないことに気づき、いっそと想ったからである。待ち合わせは19時であったから、2時間前にでも出かけて街をぶらつこうと、ただ、17時といえばもう闇の中に沈む頃なので、少し早めにたどり着こうと思い直した。もちろん、浦島太郎のような感覚で、旧友との再会でもってそわそわしている(逸る)気もちを抑える狙いもある。
 着いたのは暗闇ぎりぎりのことで、拙い画像がよりいっそう目立つ。

富岡八幡宮

 この日(11月7日)は七五三さんで仲町に来る前に最寄の駅近くの神社でも大勢の家族連れがいらしたが、八幡さんにも何組か残っていらした。

富岡八幡宮前  八幡ひ稚児さん

[たちまちに暗闇]

 このあたりで常夜燈が主役となる時間となった。今年は二の酉までで、12日に「一」があるそうだ。まもなく、大鳥神社も賑やかになるのであろう。

八幡常夜燈  大鳥神社

[闇に浮かぶ富士山]

 おそらく浅間神社であろう。この隣に山(岳)信仰の碑もあった。

山岳祈願の横の山岳のような(八幡)

 成田山新勝寺の東京支店とでもいうのか、こちらは八幡さんのお隣にある深川不動堂(尊)。こちらでも七五三のようだ。

[左:不動堂参道、中:お隣は八幡さん、右:不動堂]

深川不動尊参道  向こうが八幡  不動尊前

[厄除け香煙と不動堂とブルーモーメント]

 携帯電話で確認すると撮影時間は16時59分、日が日に日に短くなっている。

お香と不動とブルモ

[深川龍神の龍ノ口(龍頭)]

 気がつくと、龍ノ口(龍頭〜たつがしら)を撮っていた。3体あって、豪快である。中は2月に伺った妙心寺(まだ、そのてん末を記していない)、右は新潟市で、引き続き記したいと思う。

竜口3体  竜頭  三社4画像0084

 約束の時間まで2時間弱残っており、付近をさ迷った。龍ノ口にちなんだわけではないが、ついつい入り込みたくなるような一郭がある。「辰巳新道」と案内があった。例えば、柳橋向島あるいは牛込(神楽坂)、もちろん、いずれも知らないけれども、同じ列に辰巳芸者がゐた(辰巳芸者については司馬遼太郎氏の「街道をゆく/本所深川散歩」をどうぞ)。その名残りかどうかは分からないが、呑み屋さんの中に通りがあるといった具合にひしめき合っている。その一軒が妙に輝いていて、撮らせていただいた。こっちから撮ったのが左で、廻りこんでみると、もっと輝いていた。これが一軒の灯りである。

[辰巳の星]※現在の星空はこちらでどうぞ(Stella Theater Web

辰巳新道のお店  辰巳新道のお店2

 永代通りを渡ると大横川に架かる黒船橋が。清澄通りを進めば相生橋隅田川の向こう側は佃・月島に当たる。
 ふと、永代の裏通りをいくと、まだ開店前であったが、気になるお店を見つけた。

津軽三味線の生演奏があるとも]

不思議なスナック

 表通りに戻り、前から訪ねてみたいと思っていた佐賀(町)辺りへでもと進み始めたが、戻った。それだけの時間はない。
 門前仲町交叉点(永代と清澄)より首都高速9号・深川線に寄ったところが「赤札堂」である。此処が発祥の地である。時間潰しの術として、中を覘いた(Ω)。1階はマーケット、実は屋外でアイデア爪切りや自在落し蓋などの販売を行なっていたので眺めていたが閉店寸前で片づけが始まったため、中に入った次第である。もちろん、これから人と会うのだから、此処で食品は買わないΩ。2階は婦人衣料中心のためスキップ(いたら、怪しまれるし)、3階の100均へ。拙ブロ(値百金09年8月20日付)以来、気になっていた富山ブラックラーメンがないものかと、寄ってしまった。もしかしたら、先ブロにあるようにセールで売れ残った品が流れ流れて、あるのではないかという卑しい根性である。同系列の他のお店に比べ狭いこともあって食品売場もこじんまりとしており、やはり無かった。もう4階以降に上がる気も失せ、時間的にも30分前ということから、下をめざした。

 待ち合わせは、喫茶店 ♪_♪

 すぐに場所を変えて、わたくしの乗るべき電車のぎりぎりまで一緒にゐた。

 もちろん、この30年のことを話すことはできない。せいぜい、30年前までのコト(事実)について記憶違いの隙間をお互いでもって埋めていくコト(作業)ぐらいしかできない。

 ただし、ジグソーパズルをしているわけではない。そこに当てはまらない片をお互い発見しながら、グラス(盃)を交わしていた。