おにぎり>おむすび

 前回、鉄弁(駅弁)を忘れて、熱弁してしまった。弁(当)は熱くしてはいけないのである。ただ、熱くしていただけではない。おにぎりとおむすびの問題を常に意識しながら記していたと弁明しておく。
 まず、はじめに告白しておくと、わたくしは、「おにぎり」である。そして、これが、全国的にごくフツウの謂い方という結果もある。
 「ごはんを食べよう国民運動推進協議会(事務局:兵庫県農政環境部)」というサイトから引用する。ちなみに同会では1月17日を「おむすびの日」と定めていて、阪神淡路大震災(95年)を念頭においている。炊き出しというと古い言葉であるが、その気持ちは今も活きている。

 もちろん、呼び方は地域により異なるのは当然である。アンケート結果は都道府県別に分けている。それを?図マップ?化してみた。

[Z´MAP〜おむすび化率]

おにぎり山マップ  KenMap8.4(8.5にバージョンアップしていた)
(※地図外になってしまったが、沖縄の「おむすび」率は3.7%である)

 拙ブロ「志゛まん焼き(上田・海野町商店街)」(10年7月4日付)で『じまん焼き』(ほかに今川焼き、太鼓焼きなどという)の呼称分布をみたが、その際は北関東・甲信で「じまん、および富士アイス」傾向が色濃くでていたが、今回もまた特徴があった。図マップの色分けは「おむすび」と通常呼んでいる比率が高い地域を示している。広島県山口県が30%以上(桃色)、3人のうち1人は『むすび』派である。全国平均が10%以下であるから、相当高い。15%以上で色(薄緑)をつけると、相変わらず北関東(※群馬県だけ)と甲信が顔を出している。そして、全国平均を上回っている地域を黄色としてみた。
 これをどう想うかは人それぞれで、歴史好きであれば出雲南下説や出雲東漸あるいは蘇我一族関東潜伏説もあろうか。宮崎、高知と来て、千葉・・・で黒潮説、しかし、これは途中の「おむすび」率が低いので、どうだろうか。朝鮮半島説もあって、信濃(長野)を鬼点として関東一円を「結ぶ」。

 よく分からない。

 05年にも同じ質問をしており、その結果もみたが、劇(ころりん)的な変化はない。ただし、先の広島、山口などにおいて「おむすび」率が低下しつつあるという気になる結果もでている。05年調査の比率−09年という引き算をしてみた。標準化率の欄でプラス(赤い数値)というのは以前に比べ、おむすびと謂う割合が減って、全国的な傾向に近づいていることを示している。両県とも5ポイントほどの下落率(標準化)である。また、おむすび山の頂点に立っている先2県の凋落とは対照的に長野、香川、宮崎は「おむすび」化が進んでいる。

[05年→09年]

おにぎり山図表

 アンケート調査というのはあてにならない部分もあり、そう考えれば、こと足りることであるが、標準化の背景にはコンビニの存在があるとも考えることができる。主なチェーンのサイトを検めた。8月30日時点での内容であるので、もう変わっているかもしれない、その点はご容赦を。

 ◆セブンイレブン(中国地方版)〜音戸ちりめんのじゃこ飯おむすび
 ◆セブンイレブン(関東地方版)〜おにぎり&おむすびが混在

 ◆ファミリーマート〜全国的に「おむすび」が多いが、おにぎりでもそこそこヒットした
 
 ◆エーエム・ピーエムは「おにぎり」がやや多いが、おむすびでも多数ヒット

 ◆ローソンは「おにぎり」、おむすびでのヒットは3件のみ

 ◆ミニストップ〜情報が少ないのであるが、お(和)むすび

 ◆JR西日本系列のコンビニ、キヨスクは「おにぎり」(ジェイアールサービスネット広島)

 どうもローソン以外は使い分けというのか、確たる定義(統一感)はないようであるが、広島・山口の標準化の片隅にJR系が加担していると考えるのは過ぎるか。なお、広島、山口を中心に展開しているスーパーなども確認したが、おにぎり、おむすびをわざわざサイトには載せていないようで、不明である。(乞う情報)

 もうひとつ、広島おむすび凋落の傍証として、「むすび・むさしVS仁多屋のおにぎり」という事情もある。わたくしはいずれも全く知らないことであるが、広島では?おにぎり(おむすび)?といえばむさしのむすびといわれていたらしいが、近年、仁多屋が勢力を伸ばしているようだ。仁多屋の仁多(にた)というのは安芸の国より比婆山を越えた奥出雲のことであるのも茶話が進む。

 しかし、同会は3万人規模(09年)のアンケート調査を行なって、おにぎり9割という結果を導き出しながら、何故、かたくなに「おむすび」と仰言られているのだろうか?そこのところが茶飲みの中でちょっとした話題になっている。

 昨日より台東区立忍岡中学校でも給食が始まった。(9月2日より、画像は3日のお献立)
 本日は、ご飯、手作りふりかけなどとある。器ごと適度に揺らして、「飯」とふりかけを混成しながら、ある程度成型されたら、そののち、諸手でもって、やさしく握る(あるいは結ぶ)、これがおにぎり(おむすび)の極意であると、以前、同級生が言っていて、無視していたが、数十年後にオニギリスト(オムスビリエ)なる方がそう仰言っていたのを知って、彼に悪いことをしたと反省している。ただ、試してみたけれども、そうでもない。自分で握る(結ぶ)ほど悲しい味はない。

 「おにぎり、温めますか〜ぁ」については、同アンケートをもとに引き続き考えてみる。(結構、面白い結果がでている)