ヤーコン(野〜根)奮闘記

 山麓からヤーコンが届いた。

[これがヤーコン]※皮は薄く、包丁で削ぎ落とすだけでOK

ヤーコン姿

 ヤーコン研究会サイトによると、アンデスが原産とある。アンデス原産の野菜は多く、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、トウガラシ、トマト、カボチャなどもそうであったと思う。ただアンデスメロンは違うらしく、?サカタのタネが新種開発したそうである(プリンスメロンも同じ)。(「地域の企業訪問横浜市都筑区サイトより)

 擂(す)りおろすと、水分がたっぷりと。スプーンで掬い汁ごと口に入れると甘い、汁(ジュー)シー。もちろん擂らずに実を齧(かじ)っても甘〜い。繊維質が歯や舌にQuoツンと当たり、リンゴやナシとも異なる触(食)感が広がる。
 糖度を比較してみた。採取方法、箇所によって異なるが主な果実、野菜については?アタゴのサイトより引用した。

果実・野菜の糖度

 みかん11〜14%、いちご8〜9%、巨峰15〜20%、スイカ9〜13%
 メロン13〜18%、モモ12〜15%、リンゴ12〜17%、ナシ11〜16%
 トマト5〜7%、ダイコン2〜4%、カボチャ19〜20%、ジャガイモ4〜6%
 サツマイモ8〜12%、トウモロコシ14〜17%など

 比して、ヤーコンは13%程度であるという。(茨城大学農学部地域連携ブックNo.2)また、収穫してから2〜4週間経過した頃に糖度が上がるらしい。(ヤーコンの冬期貯蔵法の検討〜長野県木島平の例)
 度数(%)のみでみると、上記の中位程度にあるが、まだ拙頭の中にヤーコンのイメージがないことから、より甘く感じるのだろう。甘さの正体は(フラクト)オリゴ糖、今わたくしの周りにはヤーコン以外にその存在は認められない。他に、ごぼう、バナナ、大豆、たまねぎ、ネギ、にんにくなどに含まれているという。(健康マトリックスより)
 ポリフェノールも豊富らしい。上記茨城大学のサイトに詳しい成分が掲載されている。見逃すことのできないのが葉の部分でありマグネシウムがたっぷり含まれているそうである。わたくしのような足攣りには嬉しい(今回は葉ナシですが)。(ヤーコンに含まれる成分/ヤーコン研究会)

 能書きはここまでとして、ここから実践編である。上記研究会などのサイトを参考にして、奮闘してみた。

 擂りおろしたヤーコンに小麦粉(薄力粉)と片栗粉を雑(ま)ぜて、団子づくりに精を出す。不器用さもあるが、水分が絶えず染み出てくるので、形は整わない。まるで、沼垂のようでもある。⇒地獄から天国へ(新潟泥縄記)あたりを参照。
 数日、冷蔵庫内で寝かせてみた。思ったほど変色はせず、見た目は「つみれ」である。

[団子づくり]※こねてから数日経っている

ヤーコン団子型画像0062

 数日前、作ったばかりの団子を食べてみた。一切、身に味はつけていない。ヤーコンの甘みを殺ぎたくないからである。出汁でこさえたが、もちろん、(餡)汁粉でも構わないし、もしかした、砂糖の代わりとしてコーヒーに入れても良いのかもしれない。

[団子汁]※昆布出汁と醤油少々(日本酒は身の回りにない)Ω形が悪すぎるねΩ

ヤーコン団子汁

 デザートとしてもイケルはずである。団子ではなく、平たくハンバーグ状に延ばしておき少々の油をフライパンに布(し)いて焼いてみた。味付けはやはり一切なしである。数日間置いたからであろうか甘みが増している気もする。
 
 熱いうちに食べてみた。!(イケテル)

 画像は1片であるが、4枚を食べてしまった。美味しいのである。擂り忘れられた小片もいくらか雑じっていて、その感触も素的である。どう説明すれば良いのだろうか、葛餅を軽く炙って食べる、そのようなイケテル状況である。生クリームや練乳、溶かしたチョコレートを添えても問題はないと思う。薄く焼けばヤーコンクレープにもなる。

[お焼き]

ヤーコンお焼き

 当初は「お好み焼き」仕立てを考えていた。ただ、甘みが気になっていたので、まず、焼くだけにして、素のまま食した結果が以上の顛末である。ヤーコンの糖度は数週間がピークであることはすでに紹介したが、お焼きの素材をさらに数日間寝かせておけば糖度が低下するので、ひょっとしたら、お好み焼きの粉の中にヤマイモ代わりに入れても甘さが気にならないのではなかろうか。ヤーコンはその甘みが特徴であるが、あえて、それを抑えるという方法もある。

 その性質を用いた。

 下記画像は擂らないで、短冊切りにし、数日間、山葵醤油で漬けたものである。よくあるヤマイモの料理法を真似た。漬けたばかりを食した時は「甘い」と「辛い」が喧嘩していたが、今はすっかり仲良くなっている。仲裁役に梅干壜の赤シソを取り出してきて、一緒に漬けておいた。

[ありがちヤーコン山葵醤油漬け]

ヤーコンわさび画像0062

 まだ、発展途上である。

 ヤーコン研究会のサイトにレシピが豊富にあるので、ポチポチ試してみたい。

 他にも町おこしとしてヤーコンを育てているマチがある。北海道留寿都村青森県東北町、宮城県丸森町福島県天栄村、長野県木島平村熊本県菊池市宮古島などなど、挙げていくと、限(きり)はない。今後も挑むマチが増えていくのであろうか。ただし、できすぎる点が気になっている。下表は主な野菜などの作付面積当りの収穫量を示したものである(農林水産省資料より)。稲(お米)というのはたいへん世話のかかる作物で10アール当り550kg、1反(10アール)1石(150kg)といわれたことを思い出せば、その3.5倍程度に増えているものの、効率は悪い。エダマメ、アスパラガスも同程度であるが、ソバはヒトケタ低い。データはあくまでも2008年であるから良し悪しもあるだろう、あるいは需要と供給のこともあるので、単純に多寡を比較するつもりはないが、ヤーコンに収量としての珍しさはない。わずか3ヶ月の収穫期に掘り起こして、どう加工し、保存するかに存在価値がかかっている。

[主な野菜などの作付面積当り収穫量]

作付当り収穫量比較(ヤーコン)

 おそらく古代アンデスの人たちは生き延びるためにヤーコンを栽培してきた。アイルランドの人たちが新大陸へ移住したのはジャガイモの不作であったというが、ヤーコンがあったなら、おそらく今のNYCは存在しなかっただろう。

 不景気である。一家に一ヤーコンを奨励してみたい気もする。ごちそうさま。