風の祭

 昨日は所用で町田に出かけることになった。せっかくなので、文学館に寄ってみた。同市所縁の作家たちがいらっしゃるそうで、その中に八木義徳氏の名を見つけた。いつだったか、もう30年も前に求めた記憶があり、ずいぶん読むのに苦労した「風祭(かざまつり)」の名を想いだしたからである。
 藤枝市文学館のようなつもりで伺ったのが間違いで、建物の2階、3階と訪ねてみたが、いらっしゃらず、1階に戻ると、こじんまりと、壁際に他の所縁の方といらした。遠藤周作氏や白洲正子氏らが幅を利かせているのは仕方ないとして、八木氏の書籍がいくつか展示所蔵されており、パラパラと捲ってみた。風祭にしてもまだ読んだという気もちになれないのに「私のソーニャ」ほかを立ち読みしてみた。
 お暇して、乱暴だが、ここへ来る途中にあった100本屋さんに寄り、探してみた。あるはずもない。駅前に戻り、大きそうな書店にもぐりこみ、同じことをしたがなかった、置いてあった風祭、私のソーニャなどが収まっている文庫版の総合目録を覘くと、品切れとあった。この週末に山麓に向かう、そこに風祭(単行本)はあるはずだから、読み返してみようと想う。

 向かうすがら、(町田はまだか)、と、車内の路線図に「風祭」(箱根登山鉄道)をみつけた。