百御縁(105円)本

 所用(うどん&だんご、花観)の帰り、ブックオフに寄った。ひさしぶりに百円本(税込では105円)をと思ったからである。店内の様子が変わっていて、CDやDVDの棚が増えたように感じる。コレも時代の流れかと何をいまさらと言われそうであるが、ブックの存在がOFFになりつつある。
 一冊目は「琉球歴史のとロマン その一 (総集編&世界遺産)」(発行:環境芸術研究所/那覇市泊)。趣(おも)しろいものだから、その日に半分程度を読んだ。その二(人物編)、その三(地域編)があるとカバーに告知されているから、また、オフで探してみよう。

琉球と(ウフ)ヤマト、大陸との関係が]

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[酒と健康]

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 二冊目は「酒と健康」(高須俊明氏著、岩波新書)、いまさら、と思われるが、読むために求めたものではない。(著者にはたいへん失礼であるがΩ)どんなものか眺めようと開くと、こんなもの(↓)が挿んであった。

[コニャックのレーベル]

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 底(下)に醸造OUYER UILLRET & IE(ルイエ・ギレ社)、右にはルイ14世と印字されている。この王様がコニャックにお墨付きを与えたらしい(王名の前にSOUS【〜の下】とも〜Sous le ciel de Paris〜♪)。もう一枚(画像の上)あって、上記と同じ品(壜)に付いていたかどうかは分からないが、紙魚の加減は似ているといえば似ている。こちらには、

VIEILLE
GRANDE CHAMPAGNE
100 YEARS (なぜかココだけ英語表記)

とある。

古〜・・・
グラン・シャンパーニュ地区で、
100年以上の歴史なのか(?)、

 ルイエ・ギレ社は1701年創業とあった。ルイ14世の御代(世)もそんなところであるから、100年前(以上)といえばそうであるが、大雑把も度を越している。

 単純に考え、古酒・グランシャンパーニュ産・100年(熟成)モノなのか?

 よく分からない。

 株式会社リカーズ.ケイのサイトに極近似値があった。

 ROUYER GUILLET / PHILIPPE GUILLET

 ただし、100年とは記されていない。

 同著を買われた方は、どういうつもりで挿まれたのか、また、この方は余程のお酒(ブランデー・コニャック)好きなのだろうか。レーベル蒐集家ならば、今、ここ(わたくしの手許)にはないはずである。そして、同著を買われた意図は?不思議なことばかりである。お酒好きかどうかについてはある程度推測はできる。90〜91頁に新聞記事の切り抜きが挟まっていて、表題は「おいしい水割りの作り方」。お酒を呑まない方はこんな記事をわざわざ取り置かないだろう(結果的には取り置いていないが)。興味のない方もいらっしゃるだろうが、折角だから紹介しておく。

1.グラスの縁まで、大きめのかち割り氷をたっぷり入れます。(拙注:グラスは細め、長め、薄め)
2.ウイスキー適量注ぎます。おすすめの濃さはウイスキー1に対して水2.5です。
3.マドラーで13回転半かきまぜます。ウイスキーとグラスが冷える目安がこの数字。
4.溶けた分の氷を足します。冷たさを保ち、薄まりにくく、見た目にもおいしそう。
5.冷やしたミネラルウォーターを適量注ぎ、3回転半まぜて完成です。

 赤字の部分はわたくしが勝手につけた箇所で、どれもこれも、ふだん実行していないことばかりである。

[こうすれば水割りは旨しい]

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 まだある。

 154〜155頁にはやはり切り抜きで、「ビジネスマン うんちく講座 〜 ボルかブルかは壜の形で」とある。壜の形でボルドー産かブルゴーニュ産かが判るというノウハウ(うんちく)モノで、筆者は山本博さん。先生アーチェリーのお人ではない、山本1.8?博さんでもない。記事の末尾に弁護士、世界ソムリエコンクール日本代表委員とある。社団法人日本ソムリエ協会のサイトにそのお名があった。(1.8?さんも)

 記事は長いので紹介しないが、このお方(著書の前所有者)の洋酒好きあるいは蘊蓄好きがほぼ判明した。

[ボルかブルか]※そのように略すとは初めて知った。

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 この著の発行は1987年7月20日(第1刷)である。奥付けにレシートがこれは貼り付けてある。日付は62(西暦87)−7−24、発行日から遠くない。購入場所は今はもう存在しない銀座東芝ビル〜旭屋書店。ちなみに同書店サイトで在庫を確認すると、「在りません」と答えが返ってきた。(税込663円に値上げされている。手許の書は480円;当時消費税は無かった)

[レシートは語る]

レシート2画像0104  レシート1画像0103

 87年7月というと、わたくしはここら辺り(仏国)にゐた。旅行中であり、凱旋門近くでツール・ド・フランスのゴールシーンを眺めていた。2月から始めた旅の終盤であった。

 バブルの頃でもある。拙ブロUDOANGO(うどん後だんご)(10年4月10日付)でふれた「ワンレン(+ボディコン)」はこの年の流行りである。大雑把に表わせば、呑めや謡えやの気分が大勢を占める中で、高須氏はどのような想いで同著を書かれたのであろうか。

 あとがきの一節にそれが集約されている。

 「素面でいる時にしか味わえない満足を全面的には失いたくない・・・」

 胃に沁みる。

 不景気に伴ない低価格アルコール飲料が増えたこともあり、税収は単純には比較できないが、87〜88年にピークを迎える。不確かだが、89年は昭和天皇の御崩御による自粛の影響と消費税導入による買い控えにより激減した。控えた分、誰も(除く下戸)が前年までに呑み・酔い溜め、買い占めておいたのであろうか。

[課税移出量と課税額]

酒税と移出量推移国税庁

 もう一冊、買わなかったが、頁一杯に書き込みと線(マーカー)が付けられた本に眼が止まった。フツウなら商品としてどうかという程度の「書き込まれ」方で、本文を読む以前に、メモでもって洗脳される危険性さえある。ミステリーだったりしたら、ひょっとして犯人の名前がという恐怖である。さいわい、そういう類ではなかったが。以前、電車内でほとんどの頁に付箋がされ、しかも複数挿んでいるお方を見て、付箋というものはそもそも気になった部分などをあとですぐ捲(めく)ることができるようにという目的(手段)だと思い込んでいるから、それでは役目を果たしていないのではと頸を傾げたことがあるが、あれはあれで、例えば本に直接書き込むのは嫌なので、付箋にメモ書きしているとか、同じ言葉(あるいは人物)が何回登場するかを付箋で色分けして、あとで数えるとか意味があったのだろうと、今では解釈の幅を拡げている。ただ、未だに不可解(謎)のままである。

 ブックオフというのは従来の古書店と異なり、中身を見ないで査定するという話を聞いていたが、ワインなどと同様よほどのソムリエでなければ本の良し悪しは判らないし、だいいち、何を基準にするかは人それぞれであるから、古書(新書も)の査定は曖昧になるだろうし、個人(個店)による差異が生じるのが当たり前だから、まして全国に900店舗あるようなチェーンストアでは無理だろうと思っていたが、どうも、わたくしの勘違いだったようである。レーベルや切り抜きあるいは書き込みのおかげで「中身を見ない」の意味が分かったような気がする。

 青臭く書くが、価格はともかくも(只でも)、手に取った時点で本とのご縁ができる。これから汽車に乗って、長旅(数時間だが)をしようという時に、キオスクで酒と肴を買うついでに求めた本が肴より存外旨しいということが何度かある。もっとも買ったツマミがひどかったという事情もあるが。

 明日、所用(オン)で向かう先にもオフがあるので、覘いてみようかと想っている。