貧乏と不況は違う

みぞ(う)ゆう
ひゃくねんにいちど

 と云われる昨今である。

 前者は(嘗てないという意味だから)ともかく、後者は、林芙美子さんに重ねている。彼女は百年前を生きた人である。そして、貧乏である。どれぐらい貧しいかは、まるで○○のようだ、が、たいてい、食べ物であることから、推(お)せる。いちいち、数えていないけれども、『放浪記』で頻繁(’はんざつ’)にこぼして(グチッテ)いる。風景にも、光景にも、その鋭い観察眼にも「食」が壁のようにいつも芙美子さんの前にある。

 富士山も土まんじゅう
 
 に比して、食が細いだの、食堂の飯の量を減らしてくれだの、百年後のものが羨ましいなり。

 うで玉子飛んで来い。 (フミコ)