寝る子は育つ、しかも肥らない、らしい

 ネットニュースを眺めていたら、「時事ドットコム」(07年11発6日付)に「よく寝る子は肥満になる確率が低いとの調査結果が米小児科学会より発表された」という記事があった。『寝る子は育つ』とは聞くが、肥らないというのは、新説(初耳)である。ただ、育つと肥るには似たところもあり、何もせず、ただ寝ているばかりでは、肥るはずであるとも思う。
 手許の『暮らしの中のことわざ辞典』(折井英治氏編/集英社)で調べてみると、
[よく眠る子はすくすくと大きくなる。人間は一生の中で三分の一は眠っているが、乳児は一日の大部分を眠っている」と説明がされている。
 この辞典は全体にシュールで、例えば、「寝る子は・・・」のひとつ前は「根も歯もない」であるが、その解説は、「全然でたらめなうわさのこと。根も葉もなくては植物は生きられないが、ひろい植物界には葉のない植物や根のない植物もある。ラフレシア・アーノルディは、直径1メートルもある花をつけるのに、根も葉もなくて、、ヤブガシラの類に寄生している。」とある。これに準拠すると、根も葉もない噂も、あながちでたらめではないという意味にもとれる。編者は農学博士ということもあり、ソッチ系の諺には自ずと力が入ってくる。例えば、「匂松茸味しめじ」では、(少しが長いが引用すると)、「キノコには食用になるものと有毒なものとがあるが、日本で今まで(筆註;初版は1962年)知られているキノコは一千種くらいで、その大部分は食用になるか無毒である。一般にたいして栄養価のあるものではないが、秋の味として珍重される。その中でもっとも香りの高いのはマツタケで、もっとも美味なのはシメジだとされているが、どちらも地中の植物の根に菌根を形成するものだから人工培養はむずかしい。」と、読んでいるうちに、ことわざ辞典であることを忘れさせてくれる。
 さて、(同辞典の)寝る子は育つの項に、類諺(類語)として、『寝る子は太る』とある。残念ながら、これについての言及はないのであるが、上記、米学会の説とは真反対の意味合いである。寝る子は育つは寝る子は肥るであり、それが少なくとも、ことわざ学会における“常識”であったが、米学会によって覆されたことになるのである。はたして、どちらが正しいのであろうか。結果は両学会の喧々諤々を待つしかない。
 いずれにしても、博士が仰言るように一生の1/3は眠りの中にある。そういうことを考えていると、“残り”時間ということを、余計に意識することになる。一生というのは生き物によって、また、個々によって差異があるけれども、例えば、人間でいえば80年ぐらいか、それが終わると、また、場合によっては、その前というのは、ある意味、眠り100%に近いとも考えることができる。(乳児がよく眠るのは、前の習慣がまだ抜けきっていないためかもしれない)だからなのか、只今は、老後への執着がアチコチにあって、第二の人生を真摯に考え、実践していらっしゃる方も大勢いるのであろう。何せ、どう勉めても、寝ないわけにはいかないのだから、残り時間は大切なのである。
 山口大学時間学研究所というのがあって、今月末には東京でイブニングセミナーも開かれるという。(詳しい内容はコチラから)同サイトをみていると、おおよそ、時間を、「宇宙の時間」、「地球の時間」、「人間の時間」と分類し、さらに、「時間そのもの」を学び、知り、想うことが趣旨であるらしい。タイトルだけで判断してはいけないけれども、ナカナカ面白そうである。ちょっと、行けそうもないが、申し込みだけでもしようかと、ちょっと、迷っている。ま、どうせ、行けない(行かない)確率が高いので、もっと、まじめな方に行って頂くために、無駄に定員を少なくすることもないのであろう。
 『時は金なり』とある。それほど、時間は貴重であると、誰もが意識している。
 博士の解説では、
「時間は貴いものであるからむだに過ごしてはならぬということ。時間を有効に使って勉強すれば必ず成功する。」
 全然、シュールではない。