古書店にて

 所用の帰りに中古書店屋さんに寄った。白線流しを探したが、なかった。そのことは、同社のネット版でも確認していて、ないことは分かっていたけれども、念のため、探してみた。もちろん、なかった。そのかわり、探していた、ある雑誌を見つけ、購入した。ついでにというわけではないが、手許に置きたいと、古語辞典を探すと、結構あって、2冊を求めた。いずれも、複数あって、同じ内容、版なのに、価格が10倍以上異なっていた。当然ながら、もっとも安い「105円」を選んだ。左側が「最新詳解古語」(佐藤定義氏編/明治書院)、最新といっても、8版平成10年1月10日とある。そして、他の冊は「新明解古語辞典 第三版」(金田一京助氏監修、春彦氏編者代表/三省堂)である。ちなみに定価(当時、税別)は前者が2,000円、後者は2,621円(税込2,700円、消費税3%時代で、96=平成8年12月1日発行、第6刷とある)
[各105円也]
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 特に、「詳解古語」の方は、その店だけで4冊あって、同じ内容、版数でも、売り値が大きく違っているところに、あらためて、この店の凄さを感じさせられた。とはいえ、見た目には、10数倍の違いは素人には分からないので、店の方に確かめてみたい気もしたけれども、それでもって、では、1,000円で、などといわれるのも困るので、さっさと精算していただいて、街(店外)に出た。買い求めた2冊の違いはと問われても、答えることがむずかしい、一方は詳解で、もうイッコは明解です・・・だろうか。試しに、『嵐山(あらしやま)』を見較べてみよう。詳解の方は、「山城の国(=京都府)にあり、紅葉の名所。大堰(おおい)川を隔てて、小倉山に対する」、と、なんだか、地理っぽい意味では詳解である。一方、明解は、「歌枕の一つ。京都市西京区嵐山にある山。『朝まだき嵐の山の寒ければもみぢの錦着ぬ人ぞなき(拾遺・秋)』とあり、コッチのほうが詳しいように思えるけれども、明解という点では前者に劣っているような気もする。引用される歌などは、[嵐山]に限っていえば、明解の方だけにあるが、詳解もナカナカで、「これでもか」というほどに、明解を遥かに上回る数でもって、引用している語句(古語)も多々ある。
 いずれも、全ての頁を眺めるには、それなりの時間を要しそうであり、並べてみるとなると、ちょっと、見込みが立たない。
 本日は立冬らしい、錦とはいかないかもしれないけれども、ひと重ね、多く羽織って、風邪など召さぬよう、皆様、お気をつけください。わたくしは、風邪ではなく、花粉症で参っている。