引き続き理容

 前回はジッチャク(勢理客)と理容の勘違いについて書いたが、本日も、理容に引きづられてみたい。那覇(安里)で刈っていただいた理髪店は900円と書いたけれども、確かそうである程度に下方修正しておく、千円札を渡して、レジでもってニィちゃんが前もって100円を握りしめていたような記憶があるから、たぶん、そうであろう。ほかに1,000円のお店も3軒ほど見つけたが、何んとなく入るのが「怖かった」。今では、東京などでも1,000円カットというのが多くなり、「普通」の理容店でも1,300円とか1,600円という、ちょっと中途半端な価格ではあるが、そういうのが増えている。ただし、カットだけが基本である。わたくしが行くお店(例のチェーン店ではない)は1,000円で、頭・首のマッサージ付きであるが、受けたことはない(やはり、なんとなく、怖い)。このお店は下町にあって、3台を3人で切り盛りしている。たまに、お一人休まれている日などは大忙しで、常に3〜4人待っているという状態である。客層も都心と異なり、さまざまで、わたくしのようなオッチャンから、お子チャマ、奥様など、ビジネスマン相手であれば、そう違いはないけれども、刈り方も多様化しているので、さぞ、面倒ではないだろうかと思う。さて、例のごとく、家計消費をのぞいてみよう。ちょっと、意外なというか、ショッキングな結果が出ている。当然ながら、1,000円カットの普及により、理髪料にかける支出は年々減っていて、2006年はとうとう6,000円(年間)を「切った」。100世帯当りの購入頻度は190(06年)なので、1世帯当り年間2回弱行くということになろうか。わたくしの場合でも年3〜4回(3〜4ヶ月に1度ぐらい)であるから、生活実感的には少ないと思うけれども、これが統計という独特の感覚であると考えておく。なお、家計消費には理髪料のほかに、パーマネント代(6,431円、06年、以下同じ)、カット代(5,158円)、他の理美容代(13,907円)というのがあって、「美容」関連はコッチに含まれているので、「ボクは美容院」という人は理髪のほうには含まれていないから、理髪の購入頻度(利用回数)はゼロとなり、ボクが50人、わたくし(オッチャン)が50人いれば、その(理髪)平均は2回となる。詳しくは(収支項目分類及びその内容例示/(平成17年1月改定)/消費支出 交通・通信〜その他の消費支出)の符号892、894、899にある(家計調査)。
 以下に、家計消費のデータをあげる。
[1世帯における理髪料にかける支出額]
家計調査(理髪)
 さて、支出金額だけをみると、やや東高西低の傾向にあるが、ま、年間数千円という幅に分布しているといえる。で、ずっと、表を下の方へ進めると、那覇市2,567円というのが、かなり目立っている↑。といって、沖縄の人が理髪しないのではなく、とにかく、料金が安いという結果が出ている↓。下表は「小売物価統計調査」(総務省)、総合調髪の大人料金である。県庁所在地および人口15万人以上の71都市の中でもっとも高い厚木市と最低価格の那覇市とでは2,000円も差がある(06年の平均価格)。強いていえば、これも東高西低であるが、和歌山、岐阜、京都は高くて、青森は低い(ただし、06年のみのデータしか見ていない)。したがって、那覇の人は厚木の人の1回分で2回調髪できることになる。くどいようであるが、上記価格は「総合調髪」であり、カットのみの比較ではない。確かに、安里のお店も、フルセットで2,000円弱のようではなかったかと思う。(那覇市の)家計調査の支出金額が低いのはそういう事情にある。
[理髪料金の比較]
理髪料金年比較
 ついでに、お店の数も調べてみた。これも意外な結果が出ており、首都圏、阪神圏は1店舗当りの支持人口(人口÷店舗数)が高くなっている。単純にいえば競合度が低いということになる。「ボクたち」は美容院に行くので、両方を較べてみたけれども、同様の傾向にある。秋田県にいたっては、理・美容店ばかりという印象で、以前、そういうことを地元の方に聞いたこともある。「あぎだは酒屋と髪結いばかりだス」。
[理容所と美容所]←統計上は、こう称する
理容所・美容所数
 もちろん、規模の大小があって、東京や大阪など大都市部では1店当りの従業員数が多いので、処理能力を考えると、店舗数が少ないからといって、競合状況が緩いというわけではない。感覚的にいえば、大都市部のほうが広くて、妙に華やかな理・美容店が多いのであろう。経営状況はどっちも芳しい(~_~)とはいえないのかもしれないけれど、競合という意味では都会のほうが(-_-メ)なのかもしれない。沖縄は全国平均に較べて、やや施設が多い(競合度が高い)という結果である。しかも、1店舗当りの理容師・美容師は1人ちょっとであり、ほとんどが個人経営のお店という想像がつく。「父ちゃん・母(かぁ)ちゃん」が細々と、マチグヮー(市場)の片隅で、せっせと刈っているのかと思うと、なんだか、ほほえましい。ただし、そういう光景は一度も見ていない。
 漢和辞典をみると、「理」には治める、(玉を)磨くなどの意味もある。理容とあらわせば少し範囲が広がって、容(かたち)を整えるとなってしまう。わたくしの場合は、やはり、理髪がふさわしく、そのように職人(理容師)さんにも頑張っていただいているけれど、まったく「理」とはなってはいないのは、もと(素地=わたくし)の問題である。床屋か散髪かの問題もある。わたくしは、どっちだろうか、昔はサンパツといっていたような気もするがはっきりしない。全理連(全国理容生活衛生同業組合連合会)のサイトに、それについての面白い資料があった(「床屋と散髪の境界線〜東海北陸地域と近畿地域との間で日本を二分〜」)。結論だけ記すと、西はサンパツ、東はトコヤということのようである。沖縄はサンパツ、西でも、佐賀・長崎・熊本(いずれも肥の国)はトコヤらしい。何故そうなっているのか、時間があったら、調べてみたい思いもある。本文とは関係ないけれども、分布図に用いられている日本地図が、なんだか、ふっくらしていて、楽しい。(これも余計なことであるが、宮城県が二つある;重箱つつき)上記の調査概要(調査の方法、調査対象など)は分からないけれども、付記として、《強いて言えば「散髪」の方が多いが、年配の人ほど「床屋」が多くなる。》 《「床屋」は地方に多く、「散髪」は都市部に多い。 》とある。わたくしは、やはり、トコヤといっていたのであろう。美容室でなく、美容院ともいまだにいっているし。
 7月9日に安里でサンパツした。まだ、1ヶ月以上、行かなくても良い、そういう、わたくしのペースであるけれども、そろそろ、刈りたいという気もちが高まっている。収穫の秋である。