バス車内にて、そして四条〜八条ふれずに、京の旅

 宿(大阪)を出る時分はつかの間の晴れ模様であったけれども、京都に着き、仁和寺行きのバスを待つ頃には、土砂降り。この時期は、やはり多いのであろうか、アチコチで修学旅行生が傘を持たずに右往左往している。ことのほか混んでいたバス車内。ここにも修学旅行生が。直接聞いたわけではないけれども、1組5人ずつとなって、洛内を回っているらしい。途中の停留所から乗り込んでくる組もあり、どうやら、おおむねのコースなり、見どころが設定されており、その中から選ぶことができるらしい。「金閣寺行き」「平安神宮」などと異なり、ふだんは、生活バスでもある。沿線に住む近所の人たちが1停2停ばかり乗って、降りる、そのことが、また、良くて、このバスに乗るけれども、今回は仕方がない。彼らは手前の妙心寺で降りた。そこから、仁和寺まで歩くのであろうか、ま、お隣さんのような距離であるから、若いうちは歩いてみてくださいと、見送って、わたくしは、もう少し乗り、仁和寺へ。帰りは、鉄道に換える。京福電気鉄道である。通称、嵐電(らんでん)、以前は福井県内にも鉄道事業を所有しており、したがって、京・福、今は、京のみである。仁和寺を外から観たくなって、府立聾学校との間にある小径を半周ほどして、下ると、嵐電妙心寺駅前に出る。そこから、帷子ノ辻(かたびらのつじ)で嵐山本線に乗り換えて、いつもは四条大宮(終起点)まで乗って、阪急に乗り換えるのであるけれども、今回は途中の「山ノ内」で下車、意味はない。ただ、この辺りは、もう京都では他所で見ることのできない路面電車の風景がある。少し、鉄してみた。(撮りはしないけれど)往き交う嵐電を二度三度見送って、四条河原町方面行きのバスに乗る。バス停の前にある水子供養寺「念佛寺」をふと覗くと、天台宗を開いた最澄のご母堂″妙徳夫人″が生まれた地とある。山ノ内の「山」は比叡山の意味らしい。寺内に入るにも、開かれている雰囲気がなく、それ以上、どうにもならなかったけれども、また、来てみようと、バスに。
 今回の京旅はここまで、いつものように、寺町(三条)のお漬物屋さん(正確には京野菜のお店である)に寄り、四条から八条までのいわば中洛にふれずじまいであった。ただ、京都駅に着いた際(午前中)、妙にリアルな吹奏楽音が駅構内に流れていたことを思い出し、帰りにその音の源を手(耳)繰っていくと、室町小路広場で「京都駅ビルコンサート」が開催されていた。チラシを頂いた。京都府中学校吹奏楽連盟の主管で府内29校のクラブが出演している。『中学生たちの吹奏楽プログラム』この時期、多い府外からの同級生のためにという心尽くしもあるのであろうか、途中、大荒れの天候をどう凌いだのか気になったけれども、階段状の観覧席はほぼ満員、一等上の喫煙コーナーで粒ほどに視認できる奏者たちの響く音を聴きながら、すっかり晴れた京の空を見上げていた。
仁和寺の外壁」
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