census

 今から2500年前、ローマにCensor(センゾール)という役職があって、人口やら何かを調べていたらしい、それがセンサスの語源だとある。今年は5年に一度の国勢調査にあたるが、初めて記載回答後の返却用封筒が閉じられるようになったと話題にもなった。前回までは調査員が、目の前で、内容をチェックしていることに、小さな疑問をもちながら、黙ってみていたが、おそらく、黙っていられない方(かた)が多かったのだろう、封印可能となった。それ以上に、調査員騙(かた)りが問題になったのも調査以来初のことであろう。ところで国勢調査の内容はかなり簡易なものになったと回答欄を埋めながら感じていた。以前は、年収であるとか、学歴など、事細かに、まるで身辺調査のような気配があったと記憶している。で、今回の場合は、世帯の状況(誰が住んでいるか)、住んでいる場所は持ち家か借家か、広さは、職業は、直近1週間の勤労時間は・・・程度の内容であった。まあ、これだけでも十分個人情報ではあるけれども、検めてみると、収入や学歴についての問いかけは平成12年にはあるものの、7年にはなかった。そして、今回もなかった。さらに総務省のHPを探ると、国勢調査には大規模調査と簡易調査があって、交互に行なわれるようである。で、今回は簡易、前回(12年)は大規模、7年は簡易ということになり、わたくしが思っていた今回は簡単だったなぁというのが事実だったことが判明した。総務省による「調査事項の変遷」から
 このことを前述の詐欺まがいを企てた者たちが知っていたならば、おそらく、今回の犯行には及ばなかったのではないかと、勝手に想像しており、及んだものの、成果が少なく、落胆しているのだろうと、妄想している。ところで、調査員には回答1世帯あたり数千円の報酬が支払われるらしいが、身分は非常勤の国家公務員、12年時には80万人が動員されたらしい。1人当り50世帯というのが目安である(同省HPによる)12年の確定報によると全国の世帯数は約47百万世帯、仮に1世帯当りの報酬額を5千円として、乗じると、2350億円が投じられたことになる。さて、それだけの大金を投じた(それ以外にも用紙の印刷代やら、役人の人件費もあろうが)結果は、いつ出てくるのだろうか。平成12年を例にとると、もっとも早い発表が2ヵ月後、人口と世帯数の速報がでてくる。「平成12年国勢調査 結果の公表状況」よりその後はどうかとみると、もっとも遅いのは平成16年12月20日とある。なんと、5年間かけて集計していることになる。で、翌年(つまり今年のこと)また、新たに調査を行なって、そして、5年かけて集計・・・の繰り返しを大正9年の第1回調査から続けていることになる。結果の集計について平成17年国勢調査の案内には「調査終了後は、すべての調査票が、総務省統計局に集められ、独立行政法人統計センターにおいて、コンピュータを使って集計し、統計表として取りまとめ・・・」とあり、コンピューターのない大正ロマンの時代はともかく、つい1回前(平成12年)まで、国勢調査は手でもって一票ごと集計していたのかと思うと、愕然とするが、そのようなことはないはずで、おそらく機械でもって集計していたものと信じてはいるものの、たかだか5000万(世帯)にも満たない母数を対象とした処理に5年も要するとは、もし、どこかの処理専門業者が業務受託でもすれば、ものの数分でと思うのであるけれど。例えば、フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』によると、また、他の資料でも、国勢調査にかける費用は約650億円とあるが、これを前述の調査員の日当と比較すると、とても足りないので、おそらく、日当は都道府県などが負担しているのであろう、と、調べると、各市町村が予算を計上していた。このことを前提として考えれば、650億円は主に集計作業に使われるのだから、これを5年(準備期間もあるので実際には6年ぐらいか)かけて、集計するという「お仕事」であれば、どこも、わが社で是非と思うに違いない。ここまで、書いて、遅まきながら思うのは、結局、国勢調査も、一部のお役所、お役人を食べさせるための道具ではないかと、この間、総務省あるいは国の役人、都道府県、市町村の役人はなにをしていたかというと、何もせず、ただ、調査員に指示をするばかりで実際の緒作業は彼らにさせる、以上が、セン(しない)・サス(させる)の目的、実態である。
(補遺)
※せん=西日本では「しない」は「せん」という
※さす=文語:助動詞のひとつ使役「さす」の終止形、口語では「させる」

独立行政法人HPより〜結構な労力をかけている]
http://www.nstac.go.jp/release/pdf/16nen05_2-1.pdf
鳥取県のHPから〜報酬は8020円らしい]
http://www.pref.tottori.jp/tokei1/toukei_index/toukeityousa.htm