小山さん

 小納さんのことではない。小山俊治さんのことを書きたいと思う。一昨昨日=二昨日(05.05.11付)成果主義とは)もふれたが、わたくしは元タイイク会系であったことから、スポーツ・運動モノにもアンテナを張ってきた、というよりも、担当教師の命によって、見るようにといわれていた所為かもしれないけれど、アマチュアスポーツをよく見ていた。といってもTVが中心であったが、中には「放送陸上」というのがあって、全国の会場で中学生が走ったり、投げたりするのを、nhkラジオの各局が中継しあって、男子百メートル走●※県の△凹く〜ん、11秒…、■×県の何某く〜ん、…というアナウンスを延々と聞いていた記憶もある。当時は各都道府県ごとに競技会を開き、その結果を全国集計して、総合順位をつけるという方法でもって、全国大会に代えていた。で、わたくしのように、そういう大会に出られないフツウの子はラジオで結果だけを聞いているという、おマヌケなこともしていた。(TV中継もあったと思う)今でも、ラジオでマラソン中継や他のスポーツ中継があるけれど、それはそれとして経過を伝えているからまだしも、結果だけを聞いているというのは、何か意味があったのだろうか、おそらく、何もなかったと思うが。ま、それは別として、アマチュア!スポーツの最高峰オリンピックもそこそこ見てきたが、近頃は「!」の前(アマチュア)的精神が薄れてきたこともあり、また、見なさいという教師の命もないことから、ほとんど見ることはなかったが、96年のアトランタの時だと思うが(記憶が薄れているので不確かではある)、何気なく見た「飛込み競技」(DIVING)に惹かれてしまい、仕事も遊びも一時中断して、テレビの前に釘づけ状態になったことがある。それが小山さんとの出会いであった。他の解説者のように日本選手を応援したり、よく言ったりしないのは当然として、その解説ぶりには頭が下がった。中国はもともと、この競技が強く、ほとんどのオリンピックで表彰台に上がっているようであるが、中国選手の素人(=わたくし)目には満点と思う試技においても、小山さんは「着水はさすがですね、完璧です。ただ〜、着水寸前の際に、右足のコユビが離れているのが惜しかったですね・・・」という。わたくしは当然であるが、同席のアナウンサーも(・・・?)、飛込み板から着水までの時間は高飛込み(およそ10メートルの落下)でさえ、たった1秒チョットの世界である、その瞬間でもって、小山さんは全てを見ているのだから、その動体視力というのは測りしれない。なるほどスローモーション再生をみると、右足のコユビが不揃いであり、同席のアナウンサーも「たしかに、そうですねぇ」、と感心というか、納得というか、そういうコメントしか返しようがないのがよく分かるほど、小山さんの解説は精緻であり、素的であった。
 以来、新聞に日本選手権とか、アジア大会といった文字を見つけると、TVをつけて、「小山さんを聴く」のが、わたくしのヒソカな楽しみとなった。2000年のシドニー大会でも大変楽しみにしていた。他の競技にはまったくノータッチ、とにかく飛込み、いや小山さんオッカケである。しかし、この大会では別の方が解説を担当していたと記憶していて、小山さんは登場しなかったように思う、今、記憶を頼りに書いているが、ここ数日間、ネットで小山さんを調べているけれど、残念ながら、情報が少ない。水連などの関連団体に問い合わせることも可能であるが、そこまでする理由がないし、一オッカケのわがままに応じてくれるかどうかもはなはだ怪しい。したがって、以上のことは、わたくしの記憶違いもあるという前提のうえで、読み流していただくと嬉しい。ただし、小山さんの解説ぶりは事実である。
 ほぼ唯一の情報として、脚本家(エースをねらえ!など)で、児童文学分野でも活躍されており、「DIVE!!」(全4巻、講談社)という「飛込み」モノ児童文学を書かれた森 絵都(もり えと)さんの、もうすでに終了されたが、理論社HP内にある「森絵都日記」2002年4月29日の中で、小山さんが同年4月22日に亡くなられたことを知った。もちろん、わたくしはTVでの声でしか知らないが、お声からすると、失礼ながら、結構おじいさんかなと思っていたが、享年66歳、まだ、早すぎると思う。同年同月(4月1〜3日)に室内選抜飛込競技大会兼国際大会代表選手選考会というのが辰巳国際水泳場(東京)で開かれていて、小山さんは、その審判長を務められていたという記事もあった。おそらく、突然の訃報だったのだろう。
 …ネットの少ない情報の中に「水の中の八月」(96年公開 )という福岡を舞台とし、飛込みをテーマとした映画(監督は石井聰亙:イシイ ソウゴさん)が見つかり、飛込み監修に小山さんとあるのが、たいへん嬉しかった。おそらく、撮影中も、役者さんたちに向かって、あ〜ぁ、右足のコユビが・・・と呟いていたのだろうかと、勝手に想像している。もう、遅すぎるけれど、ご冥福をお祈りしたい。

小山俊治さんについて(森絵都さんの日記より)
http://www.rironsha.co.jp/web/02/index.html
nhkアナウンサー島村俊治(同名)!さんと小山さんとの対談記事なのだが、まだUPされていない。(待ち遠しい)
http://www.shimamura.ne.jp/acalte/acalte.htm
映画「水の中の八月」
http://www.nazuna.com/~bun/data/sakuhin/9609mizu.htm