Александр Блок(アレクサンドル・ブローク) .

 このblogを始めて4ヶ月目(1月から)になるが、実は、昨月の半ば頃から、あるコトに気づいていた。大仰なことではないけれど、1月、2月と、わたくしの拙(つたな)いblogの数が、偶然にも「12個」ずつであること。そのことが、3月が進むにつれて、どうしたものか、やはり、今月も12にすべきか、どうか、大変迷っていた。結果は見てとおり、駆け込みであったが、揃えた。特に、わたくしは、12という数字が好きなわけではない。
 標題のАлександр Блок(アレクサンドル・ブローク)は帝政ロシヤの時代及び革命時に生きた詩人である。
 具体的に示すと(生)1880年〜1921年(没)、当然ながら二度の革命(1905年と1917年)を経験しており、詩人では、ツィナンダーリの項でふれたマヤコフスキー(1893〜1930)、ブリューソフ(1873〜1924)、エセーニン(1895〜1925)、あまりにも有名すぎるが映画監督のエイゼンシュテイン(1898〜1948)、あまり知られていないが近代演劇を変えたともいえる舞台演出家メイエルホリド(1874〜1940)などといった錚々たるキャラクターとともに同じ空気の中で、同じ時間を共有していた。
 ブロークの代表的な詩篇が『12』(ДВЕНАДЦАТЬ)である。今、手持ちにある原語版で、冒頭を紹介すると、

Черный вечер.
Белый снег.
Ветер,ветер!
На ногах не стоит человек.
Ветер,ветер―
На всем божьем свете!

以下、全くの自己流訳を標すと、

真っ暗闇に。
降り続ける雪が白く光っている。
風が吹く、風が吹く!
(吹きつける風と雪に)誰も立っていられないほどだ
風が吹く、風が吹く…
あらゆる天上の神界に

 『12』という詩題の意味は、革命時、12人の赤衛兵が街を警備するさまを謳ったものを示しているが、根底にはキリスト教において、重要な意味をもつ、12という数字を象徴的に使っているといわれており、彼のことを象徴派詩人と称す一端にもなっている。

 この詩篇は、当然12章からなり、最後の1行は、

Впереди ― Исус Христос.
あ〜あ、もう神頼みだなぁ〜。
(この先は…もう…イエス キリストの出現を待つしかない)

であり、

 革命直後の混乱と、その後、新生ロシヤに吹き荒れる粛清という時代をこの1行が象徴しているようでもある。ちなみに文末には、1月/1918と記されており、まだ、ペトログラード(現サンクトペテルブルク)の街は革命(西暦1917年11月7日、ロシア暦では10月25日=十月革命と呼ばれる)の熱が醒めやらない時分であろう。しかし、ブロークは、醒めた眼で、その先を見すえていたのだろうか。

 もう4月からは、あまり、そういうこと(数字あわせ)にコダワラナイで、のんびりと、拙ブロを続けていきたいものだと思うが、4月は、ロシヤならびに旧ソ連関係ばかりになっている。いっそのこと、コダワッテ、4月14日のマヤコフスキーの歿日まで、続けてみようか…。

彌生書房「ブローク詩集」(小平 武氏 訳)
※在庫などはご自身で、ご確認ください。
http://www2.neweb.ne.jp/wd/yayoishobo/Data08/List041.html