本牧「北方」町

 バスは本牧通りを山手警察署辺りで大きく曲がると本郷町の商店街が車窓の両側に広がる。本牧山を迂回しているためであるが、この山(丘か)が本牧を南北に分断もしている。実をいうと特に宛てはなく、ここが「ほっぽう(北方)」ではなく、「北方」(きたがた)であることを、わたくしが気づいた、その御礼のつもりで、北方皇太神宮(きたがた こうたいじんぐう)にうかがった。「太」と「大」の違いはあるけれども、伊勢神宮(内宮を皇大神宮という)の末社なのであろうか。御祭神は、天照皇大御神アマテラスオオミカミ、ほかに読み方も存在するらしい)とある。お伊勢では天照坐皇大御神アマテラススメオオミカミと称している。
 それまで、ほっぽうと思い込んでいたけれども、漁業組合はともかくも、神社に北方はない、と、電子地図の少し上(北)に眼を遣ると、北方町の文字があり、誤りに気づいた。
[北方皇太神宮]
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 広くない境内を歩いて、暮れていく空を見上げながら、ついでだから、中華街にでも行こうかと思ったけれども、今夕はみなとみらい辺りで花火大会があると知っていた。そういう中に飛び込むのもいやなので、そのまま、バスに乗って、戻ろうかと、ふと、ここへ来る前に気になっていた中華料理屋さんの灯りが点いていることを確かめて、古い押し式ドアを開けて、中に、まだ、先客はいなくて、窓際の席を選んで座った。といっても、窓外の景色が良いということではなくて、ここから、お店全体が、また、そこで働いていらっしゃる皆さんを眺めることができるという、わがままな理由からである。比較的低い天井から遅い速度でもって扇が回転し、席(卓)の数は4か5(覚えていない)、席からは厨房がみえて、3人か(覚えていない)、仕込みをしている姿をよくみることができる。
 シュウマイを頼み、少しすると、小振りな5個入りが蒸篭(せいろ)に盛られてきた。もう、それだけで、かなり満腹感に近かったので、本格的な麺類や米飯類は遠慮して、酸辣湯(スープ)と小ライス(普通椀の1/2程度)を追加して、付いてきたキュウリ・ニンジン・ダイコンという香の小片とともに、きれいにいただいた。
 わたくしが席に着いて、すぐだったか、わたくしからみると左手奥(厨房の左)に、さっと、ご主人が隠れて、すぐ戻ってきた。やはり、開店早々であったのか、トイレの灯りがまだ点いていなかったらしい。帰りがけに“そこ”へ寄ってみた。入って、少し驚いた。中には大小(あるいは、女性・男性用か)の器が備わっており、そこに仕切りはない。以前、部屋の真ん中に便器がデンと座しているホテルに宿泊したことがあって、これにも驚かされたけれど、ソッチは、一人で泊まる分には差し支えは(あまり)ない。しかし、コッチ(下写真)はちょっと事情が異なる。どのようにして使われているのであろうか。おそらく、二人同時にはありえないと思うけれども、であるとすれば、贅沢なトイレということになろう。
[贅沢なトイレ]
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 盆の入り前の話であり、まだ暑いある一日のことである。(8月1日訪)お店にはまだ美味しそうなメニューがたくさんあり、このこと(トイレ)が気になっているのものだから、もう一度、本牧北方町、本郷町あたりをさ迷い歩いて、最後は、此処を訪ねてみたいと想っている。