いよ・ぼや

 市(いち)について、情報(トラバ)をいただいた(笹川流れの潮騒/豆蔵2006さん)。新潟県村上市からである。懐かしい地名である。一度だけであるが、たずねたことがある。夕陽と温泉を肴に酒を呑んでいた、とても、しあわせな憶いばかりが残っている。同市観光協会のサイトをみたら、
 『鮭・酒・人情(なさけ)のまち』とあって、なんだか、楽しくなった。さけ・さけ・さけである・・・。
最初の「さけ」は標題の『いよ・ぼや』である。こちらは二番目の「さけ」である『地酒蔵元会』というサイトに最初の「さけ」(いよぼや)に関する記述をみつけた。引用すると、
《塩引き鮭は、晩秋に三面川で獲った雄鮭を冬から初夏にかけて発酵・熟成させる保存食です。まずは腹を裂いてワタを取り、塩を擦りこみ、一週間ほど漬けたものを水洗いします。その身を1月から極寒の中で干し、春の風に当てて発酵を進ませ、梅雨の湿気をなじませた後に再び乾かせ、7月頃にようやく完熟するのです。村上市はこの塩引き鮭とともに生きてきた町と言っても、過言ではありません。清流・三面川を遡上する数万尾の鮭たちを、地元では親しみをこめて「いよぼや」と呼びます。「いよぼや」=魚の中の魚という意味があり、幾星霜を越えてこの町の暮らしに欠かせない存在となってきたのです。》(第63回大洋酒造株式会社)より
 「いよ」も「ぼや」も、さかな(魚)、という意味らしい。「いよ」は、「うお→いお」から転訛したそうで、さらに、「いよ→よー」となって、「よーぼや」と呼ぶ場合もあるそうである(三面川流域の生き物と恵み新潟県村上地域振興局)。「ぼや」が分からないでいる。

「正月 てな いいんだなあ
雪のような まま(飯)食べて
べん(紅)のような ボヤ(鮭)食うて
花のような べべ(着物)着て
つま皮かかった カンコ 履いて
正月 てな いいんだなあ」

 以上は、村上地方の正月歌である。(村上商工会議所ニュース歳時記)より

 菅沼というから、海からはかなり離れている。下流で三面(みおもて)川と合わさる門前川の左岸にあたる。そこの子らが、あるいは大人も、(いよ)ぼやを楽しみにしていたのであろう、そういう、気もちが伝わってくる。もういくつ寝ると・・・、と、凧を揚げたり、独楽を舞わしたりする場合ではないところが、親(ちか)しくて、素的である、正月、てな、いいんだなあ。
 
 村上市の六斎市は健在であるらしい(ここは村上の台所村上市観光協会)。残念ながら、「いよぼや」も「二七」にも、お目にかかったことがなく、トラバさんをきっかけに、また、訪ねてみたい気分になっている。新潟県といっても、もう、その先は山形県であり、笹川流れは庄内へと空気あるいは風が漂ってもいる。
 「駅探」で旅程を検めてみると、東京から、たっぷり4時間は要する(シンセミア1冊分)。二七の市とお雛まつり(町屋の人形さま巡り)(同観光協会)を訪ねてみようか。

拙ブロ〜むらやま・楯岡(たておか)壱〜市(いち)へ〜08年2月6日付〜

 豆蔵2006さん、コメントを試みたのですが、うまく、いきませんでした。貴重な情報をありがとうございます。