百選

 わたくしどもは、何かとつけて、選びたがる。それが、標題の百選にもつながっている。古くからでは、・・・三景、三大などが一般的で、拙ブロでも、そんなことを書いたことがあった。(「ふ(み)・づき」05年7月2日付)
 ちなみに、フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』で「百選」をあたってみると、「百」を超える百選があって、ひとつひとつ、ふれていきたいけれども、時間も気力もないので、省くが、「日本百名山」(深田久弥氏・撰)がやはり、筆頭だろうか。同書が世に出たのが64年らしい、それ以前に雑誌などで発表されていたのをまとめたのであろうか、それにしても東京オリンピックの年に、そういう書が出ていたとは、うっかりであるが、知らなかった、注目されだしたのは、ずっと、あとのことである。上記、ウィキペディアによれば、80年代からとのことであるが、TVで、そのような内容のプログラムを見た憶えもある、たぶん、その頃より、だいぶあとであったように思う。ちょうど、バブルがはじけそうな(はじけた)頃で、山を登っていたつもりが、たちまち、転げ落ちていたことに気づいたからではないけれども、なんだか、むなしくて、「《山》にでも登ろう」という人が多くなったのかもしれない。ちなみに、わたくしは、もちろん、ひとつも登ったことも転げ落ちたこともない。最近では金立(きんりゅう)山に登る羽目になったが、これは、いき(ゆき)ががりのうえであり、本人の意志ではなかった。(拙ブロ「不慣れ」07年4月7日付)
 昨日(18日)、時事.COMから、一つ、また、百選が出たということを知った。(12月18日付)※リンク切れありかも?「郷土料理百選」という。内容については、以下を参照してほしい。
 [農山漁村の郷土料理百選](農林水産省サイトより)
 また、農山漁村に限定しない、「御当地人気料理特選」というのが23コあって、コッチを眺めていると、「B−1グランプリ」“出品”作がいくつか重なっていた。それ以外の作についても、もしかしたら、B級グルメとして、近い将来に登場するのかもしれない。
 (それは)さて(おき)、このような「選びたがり」を、冒頭に記したように、わたくしどもは大好きで、最近発刊された☆☆ミシュラン☆なども、その良い例である(発刊者の本来の意図は別として)。ただ、選んだほう、あるいは選ばれたほうはフンフンと納得顔なのであろうが、そうでない側はナゼ?と振り上げたコブシの置き所に困るところであろう。そもそも、選ぶということ自体、無茶な相談ということは分かっていても、選んでしまうところが、「たがり」なのである。買っただけで、使っていない古語辞典をひっぱってみた(拙ブロ「古書店にて」07年11月8日付)。一方には出ていないので、他方を引用する。
【たがる】表現者以外の者が希望している意を表す。(中略)希望の助動詞「たし」の語幹「た」+接尾語「がる」の一語化・・・(最新 詳解古語(佐藤定義氏編・明治書院より)
 ちなみに「がる」は《・・・のように思う、ふるまう、感じる》という意味があるそうだ(出典は前記と同じ)。したがって、わたくしどもは・・・たがるという表現は誤っており、わたくし以外ども、は、・・・たがるという、高慢な物謂いになってしまうので、上記は訂正、「一般に」とでも置き換えておこう。粋(いき)がるという、「ぶる」とも似ている(選びたぶる、とはあらわさないけれど)。ブルぶるは、ブルジョアぶる、ぶりっ子もおそらく、その派生言葉であろう、「ぶる」は「ガル」以上に高慢な言い方でもあるらしい。
 今、一度、郷土料理に戻る。
 郷土料理選考委員会も、そのあたり(選びたがる)を酌んでか、100のうち、1席だけ、空けておいてくれた。同審査過程の報告には、
 《また、郷土料理には、一人ひとりそれぞれの思い入れがあると思います。選定委員会は、「皆様のそれぞれの思いで、ご自分の一押しの農山漁村の郷土料理を最後の1品に加えてもらい、百選を完成させていただきたい」との考えで、選定数を99品としました。》と、ある。(平成19年12月18日〜第3回郷土料理百選選定委員会の結果について
 折角だから、お言葉に甘えて、足しておきたいと思う。
 郷土料理は郷土の数だけあり、お土産物はそこを訪ねた人の数だけある。おふくろの味はおふくろの数、いえ、それを口にした姉妹兄弟の数だけある、などと、粋がっている場合ではない。
 さてぇ、なんにしようか?