南東北西(みなみとうほくにし)

 たまたま、所用で利用したJR駅に置かれている旅行パンフレットが賑やかしい。もう、少し、ずれ始めて(南下して)いる紅葉前線だけれども、つい半月前は、東北が見ごろであった(紅葉情報はコッチでどうぞ;ウェザーニューズより)。そういう事情もあって、「東北」の文字が躍っていた。これは、何年前からだろうか、東北を北東北、南東北という二つに分けて、PRすることが多くなったような気がする。おそらく、当該する県なり、市町村の思惑もあって、もしかしたら、道州制というようなことも絡んでいるのかもしれないが、わざわざ1/2(北と南)としている。あるいは、選挙制度の所為があるのかもしれない。従前から定着している例としては、北関東&南関東、北九州&南九州などがあるけれども、前者は、やや差別的(?)だし、後者は同名都市(北九州市)が存在するため、混同を避けて、北部九州&南部九州、あるいは、九州北部&九州南部などともいわれる。で、北・南東北のことである。その後(たまたま見かけた日以降)、他の駅でも、その文字を見るたびに、そこは一体どこなんだろうかと、混乱しており、地名(地域名)ではなく、つい、方角として認識してしまい、今、わたくしがいる場所の南→東→北・・・といったような感覚でもって、その場所のことを想像してしまう。加えて、わたくしは、強度の方向音痴であるので、よけいにコンランが増長され、北東北・南東北という文字ばかりが眼に飛び込んできて、ちょっとした目眩を起こしながら、乗る電車さえ間違えた(逆乗り)こともある。
 もともと、東北(地方)というのはどうなのであろうか。他の地域名にはない方角のみの名づけであり、まったく、(方向音痴でなければ)誠実・正確な表現であるけれども、素っ気ない。そのうえ、北・南を冠してしまうから、その“気”さえない。別称でいえば、奥羽または広い意味で「みちのく」とも呼ばれるが、一般的ではなく、東北はあくまでもトウホクと呼ばれることが多く、JRのパンフもそれに準拠しているのであろうが、字面は分かりにくいと、やはり思ってしまう。この先、さらに1/2分割され、南東北西(おそらく、奥羽山地の西側〜山形県福島県会津地方、ひょっとしたら新潟県も含まれてしまう)などという観光キャンペーンが登場するようなことがあれば、ソコはドコ?という迷いが増殖し、今以上に目眩に悩まされるのであろうか。
 (唐突だが)以上を書いているうちに思い出したのだけれども、JR各社の表示(ロゴ)をみると、四国を除いて、「鉄」ではなく、「金ヘンに矢」を用いている。これは、鉄であると、金を失うに通じるため、それを避けているということらしい(もっとも、これまで、ずいぶん、金を失っているが)。「〓」は、シあるいはヤジリ(鏃)である。まあ、速い・・・を連想することもできる。ただし、公式な社名は全社、矢ではなく、失だそうである。
[JR各社のロゴマーク
北海道(同社のサイトより、以下同じ)
東日本
東海
西日本
四国
九州
貨物
 矢を使い始めたのは、近鉄だったようである。わたくしは、てっきり、西鉄が使っていたとばかり思っていた・・・、
 「鉄腕」稲尾和久さんが亡くなられた(時事ドットコムより)。