森の人 デルス・ウザラー

 黒澤明監督による『デルス・ウザーラ』が公開されたのは1975年のようである。観たような、見ていないような、なんとも曖昧な記憶の奥庫に納まり切っているけれども、(どこに仕舞っているかは)忘れてはいない、わたくし的には、そういう場所に在る。
 岡田和也さんの訳作になる『森の人 デルス・ウザラー』が発刊された。「群像社」、季刊『ソヴェート文学』という秀でた、かつ、忘れることのかなわない誌の版元でもある。ロシヤ文学というのは、一様に、群像という印象が強いのであるが、そういう、ワタクシ的戯れ言はともかくも、わたくしも、デルスさんにヒトと思っていただけるのか、そのことが気になりながら、耽読している。
 先々月には戴いていた『六花・06年・春号』(HOME OF HOME PAGEへ)を、ようやくHP上に返すことができた。ハバロフスクも含めて、欧亜大陸の初夏は心地のよい季節を迎えている。延べ300億人が視聴するともいわれているフット・ボ〜ルを観ながら、そのことをピッチに射す光から感じている。(ただし、今夕は屋根・半透明天蓋を閉じているようである)