西向く侍(士)

などという悠長なことを書いている場合ではないのかもしれない。気がつけば、火星はまだ見えるけれども、東の夜空にはいつのまにかオリオン座が幅を利かせている(午後11時ぐらいまでだけどね、そのあとは南天へ)。どんなに星座音痴なわたくしにでもオリだけはまず判別できる、それほど分かりやすい親切な星である。この星が目立ってきたということは冬が近づいてきたということでもあり、もう今年も数えて残り少ない時期にまで差し迫ってきたということでもある。そのこと自体は毎年同じように繰り返しているのだから、驚きはしないけれども、その速度が年々早まっていることには、いささかの戸惑いを感じている。つい、この前までは・・・だったのにぃという思いが強く、光陰矢の如し(光陰如箭)というけれど、この言葉を創った李益が生きていた1200年前とでは、光(day)も陰(month)もそして矢(箭)も早くなったのだろうし、それにもまして、ヒトの速度が高まったのだろうか。できることならば、1年365日をせめて500日ぐらいに増やしていただいて、のんびりとしたいものである。
 2日(nov.)からしばらく那覇にいた。相変わらずで、市場や山羊屋さんを行ったり来たりの毎日で変化のない、光陰(陰はないけれど)矢の如しでない日々を過ごしていた。そのことはまだ書くことが沢山あるのだけれども、泊まったホテルの部屋はグランドオリオン通りに面していて、窓越しのグランドオリオン跡を撮ってみた。新都心おもろまちシネコンへの移転統合で永く親しまれてきた映画館が消えたのであるが、その惜しいと思う気持ちさえも、いつのまにか、ヒトの心から消えていくのかと思うと、やはり寂しいだけであるし、切ない、昨夜、帰りながらオリオン☆☆☆+外周☆いくつか、を見上げながら想ったことである。
[閉館したグランドオリオン]
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