月火

 久方ぶりに晴れた夜空を月と火星が寄り添うように、しかも、次第にその距離を東から南へと移動しながら、縮めている。今は、
○.
ぐらいである。彼女、彼らは、自らを律する気持ちでもって、天空の決まった座軸に位置しており、わたくしのように、ふらふらとしてはいないし、止まる(淀む)こともないのだろう。月は雲のない空さえあれば、毎日お会いできる(新月は別)、火星は2年と2ヶ月たてば、再び、今頃の程度にはお近づきになれるのだろう。それに比べれば、ヒトなどというのは、動きが読めない、分からないということなのだろうか。いや、宇宙の先からみれば、ヒトの動きなど、月や火星のダイナミックさに比べれば、微塵にもならないのだろう。
 17日が満月であるから、今夜は立待ち月、今のわたくしの心境にほど近い、素的な月である。明晩は、少し距離を移動して、空を見上げる。