馬車道

 横浜は何度も訪れているが、地下鉄(みなとみらい21線)は初めて乗せていただいた。最初に寄ったのが標題にあるbasha-michiであった、だけのことである。ワールド・ポーターズ(WP)を訪ねて、次の所用場所へ行くため、少し歩いた。そこへの公共交通機関の手段として、もっとも確実なのが、04(平成16)年2月1日に開業した横浜高速鉄道株式会社の駅、すなわち馬車道である。小雨まじりであったけれど、途中、万国橋があって、しばらく運河を眺めていた。季節柄なのか屋形船が何艘も泊まっていて、これから、ベイブリッジ目当ての乗客を迎える準備も、まだのようで、ひっそりと、ゆったりと舟ばかりが身体を休めていた。先程までいたWPの食堂からはディンギーのような西洋船が停していたので、この洋和の対比がなんとも心地よく感じている背後から、信号待ちを終えた自動車のエンジン音に驚く。ここは馬車道ではなく、万国橋通りであるけれども、時代が違えば、わたくしがぼっと眺めている舟の背後には馬車がつっつっと駆けていたのだろうかという妄想がまた浮かぶ。想うに和船→洋船、馬車→自動車というのは大きな遷り変わりであり、そういう中で人間だけは変わっていないのだと、また、(ヒトの)歴史というのものが積み移しでしか過ぎないという暴論に至ってしまう。ただ、船(舟)も車も変わるという事象を素直に受け止めれば、ヒト(人類)もサル(猿人)から少しだけ変化したと考えることができるので、今(万国橋の畔で)、わたくしは舟と車にはさまれながら、果たしてサルからヒトに成長する段階なのか、または晴れてヒトからサルに戻る瞬間なのか、そういうことを引きずりながら、馬車道駅を探した。
馬車道商店街の紹介です]
http://www.bashamichi.or.jp/home.html