高齢化

 標題の言葉をよく聞くし、わたくし自身も頻繁に使う。2007年には日本の人口は減少に転じると推計され(国立社会保障・人口問題研究所)、その年は、いわゆる団塊(47年生まれ)世代の定年と重なる。そして、その5年後(2012年)には、彼らが65歳以上人口に達するわけだから、高齢化が進むのは当然ということだろう。
 そして、気の早い話であるが、2044年頃には高齢者(65歳以上)も減り始めるらしい。もちろん、わたくしなど、もう、とっくに存在していないのだろう。で、3400年頃には、今のままの下降曲線を描く限り、nippon国は人口ナシになるらしい。最後の一人って、誰になるのだろうかね。(そういうことに大変興味がある)
 わたくしの初めての海外旅行で、スェーデンにも行った。79年だった、この頃のス国は、超・福祉政策を採っていたため、富裕層ばかりでなく、法外な税金を徴られまいと、若者たちも国外へと流出し、残ったのは子どもと高齢者ばかり、そういう時代に、私は訪れた。この状況はス国に限ったことではなく、北欧といわれるフィンランドノルウェイデンマークでも同じであったと思う。先の旅行中、お世話になったストックホルム在住の自称ヒッピィのなれの果てである団塊世代のA氏(日本人♂)は、なれの果てにストックホルムに辿り着き、フィンランド生まれの女性と結婚され、郊外のアパートメントに暮らしていらっしゃった。一晩お世話になったのだが、聞くと、今は失業中、でも「手に職をつけるまで」の間、政府から給付金が出ているので、何とか暮らしていけると、わたくしに、このまま、ここに居続けたら、と、薦めてくれた。
 それほど、若年層、特に働き手が少ない状況にあった。気になるので、やはり、資料を調べてみると、「平成15年度高齢化白書」に、世界主要国の高齢化率の推移というグラフがあって、みると、わたくしがちょうど訪ねた頃のス国は他国に比べ、一つ抜けて、高い数値を示している。その頃の日本というのはまだ10%そこそこで、主要国の中では下位に属していた。今、日本はトップに躍り出た。なるほど、80年頃のわたくしも、そして、皆、若かった。それが、四半世紀も経てば、こうなるんだろうなと、少子化、そして、一部を除けば、外国人の入国制限、こういうことを続けてきたのだから、皆で年とって、高齢化率向上に貢献するばかりなのかもしれない。 もちろん、高齢化率だけで国力を判断することはできないが、少なくとも、「イケイケ」社会から「受け」の社会になるのだろうなと、それはそれで、好ましいことかとも思う。
 国立社会保障・人口問題研究所のHPトップページでは、ホーキンス博士が仰言っていた「火星人」みたいな頭でっかちな日本のコレカラ進んでいくだろう人口ピラミッド図を見ることができる。
 高齢化や少子化というのは国家の話ではなく、あくまでも個人の話ではないかと、わたくしは思うこともあるけれど、いずれにしても、2050年とか、3400年とか、所詮、自分には関係ないという安心感があるから、皆、平然として、「高齢化」と、会話の片隅あるいは、中心に据えることができるのかもしれない。わたくしも、然りである。

[世界の高齢化率](高齢化白書)
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2003/zenbun/html/F1152000.html
[社・人・研HPのトップページ]
http://www.ipss.go.jp/