虚と実

 虚と実の界(さかい)は皮一枚ほどかもしれないが、確かに両方が存在していて、この二界があるから、面白い、楽しいはずなのに近頃は、その区分があまり重要視されないような雰囲気が感じられる。わたくしが標している「く堕だらない」ブログにしても、果たして、書いている内容の「どこまでが」実であるかは本人にも分からない。実を書いているつもりでも、人間には思い違いが必ずあるから、事実と異なることを、事実として書いているかもしれない。いわゆる、思い込みということだろうが、しかし、それをもって、嘘を書いているとは言い切れない部分がある。拙文を書いている間というのは、その身と心の多くの部分を「虚」界に突っ込んでいるわけであるから、その間だけは、虚の中の「実」として、本人は認識している、そのようにして、虚の中で溺れているのだから、傍から、それを虚だと言われても、そのことは、紛れもない事実だとしても、本人には、その意識は「まるきり」ない。
 理想と現実という表現の仕方がある。また、光と影(陰・翳)というのもあろう。

 最近の、多くのことに、虚と実の界が見えない。