西

 西にも逃げたいという気持ちで向かうこともある。ま、そこまで追い込まれなくても、地図を見ていると、やはり目が行く方向である。国内でいえば、九州は松浦あたり、本州最西端は、下関か、地図を睨んでいると、豊浦町境に近い「毘沙ノ鼻」のようである。
 国鉄から離れた(捨てられた)第三セクター松浦鉄道(MRあるいはエムアール)に乗ると、九州最西端の駅「たびら平戸口」を記念した乗車券(証明書)を販売していたような記憶がある。改めて、同社のHPを見ると、『日本最西端の駅訪問証明書』を発行してくれるようだ(一部200円)。もっと進んで平戸、実は、MRに乗ったのも、平戸へ行くためだった。ここについては、いつか、書きたいと思うことがある。
 ただし、本当の九州最西端は、よ〜く地図を見ると、神崎鼻小佐々町)であるようだ。たびら平戸口は(あくまでも)駅としての最西端ということになるらしい。
 四国最西端の佐田岬、地図を少し左方(西)及び下方(南)にずらすと、佐多岬を見つけて、喜ぶのは、十分、地図オタクということかもしれない。ちなみに佐多岬は九州最南端である。
 日本最西端は、ずばり西崎(与那国島)。
 大雑把にいえばアジア人は西をめざし、欧州、ペルシャなどは東をめざした。では、アジア人は逃避行なのかというと、そうではないらしく、西=西方=極楽浄土という発想らしい。印度を西と見れば、そうかもしれない。歴史上、西をめざしたのはアジア人と欧州から西(新大陸)に逃げたのち、西海岸をめざした米国人だけなのだろうか、ただし、いずれの場合も、やはり逃げたというより、何かを求めての移動であったようだ。アジア人は精神的な宝を求めて、米国人は即物的な宝を求めて、は言い過ぎだろうか。
 西というのは日没の方向であるので、最西端の地では夕陽が美しいだろう。昔、ヨーロッパ最西端のロカ岬で夕陽を見ようと思い、岬行きのバス乗り場まで行きかけたことがあるが、事情があって、実現しなかった。いつか、見てみたい、ただ、それだけの目的で、ポルトガルまで行くのは贅沢なことなのだろうか。
 わたくしは、そうは思わない。

松浦鉄道(エムアール)のHPにある乗車券等の種類
(十分、『鉄っちゃん』(鉄道オタク)な、わたくし、か?)
http://www.try-net.or.jp/~matutetu/kipu/kkipu.htm